【地域創造学】僕らはみんな生きている
協働県道167号線釜石住田線・滝観洞インターから約3キロほど南下した場所にある「ふるさと創生大学」(一般社団法人文化政策・まちづくり学校)は、住田高等学校の魅力化協働パートナーです。代表理事を務めていらっしゃるのは、本校同窓会長の千葉修悦さんです。
源流の田んぼに町内外から60名以上が集結
「みんなが先生・みんなが生徒」の学校
子どもから高齢者までが集い生まれる世代間交流によって、地域共生社会の実現を目指し、多岐にわたる学びが展開されている場所が「ふるさと創生大学」です。住田町には、こういった「地域とともにある学びの場」が当たり前に存在していることも魅力の一つです。
今回ご紹介するのは、6月9日(日)に開催された、水生生物と周辺の野鳥観察会の様子です。子どもからお年寄りまで様々な世代が一緒に観察を通して交流し学びを楽しみました。
講師をご紹介
田んぼの中の生き物担当:「むかい*いきもの研究所」 代表 の向井康夫先生と田んぼの周囲の野鳥担当:陸前高田市博物館学芸員の浅川崇典先生
モリアオガエルの不思議な泡 卵塊 発見
観察会の前にモリアオガエルの卵塊を観察に向かいました。受付場所から少し下ったところにある田んぼに、クルミの木の枝がせり出しています。ここがモリアオガエルの産卵地です。今年は卵塊の数が例年よりかなり少ないとのことですが、目視だけで十数個の卵塊を見ることができました。
森に住むカエルの不思議
モリアオガエルは、その名の通り森に棲むカエルです。産卵の時期になるとメスは一度、木から池や水田に入り、おしりの穴から水を吸収します。その水を産卵の時に、足でメレンゲ状に泡立てて、この不思議な泡(卵塊)を作るのだそうです。
鳥博士の浅川先生は、あぜ道を歩きながら卵塊だけではなく、ハトの羽(羽毛だけで鳥の種類を見分けていました。さすがです。)やカエルの体の一部などを発見し、観察。あぜ道を歩くだけで様々な生き物のストーリーが見えてきます。
観察会の前に!
観察会をご担当されている藤井さんから「皆さん!これから花火をあげます。お祝いの花火ではありません。何かわかりますか?」との問い。
「ここは森なので、熊さんのすみかでもありますから、今日はイベントをやっているので来ないでくださいね。の合図として打ち上げます。」
森は人間のものではないという森への作法を感じました。
むかっち博士と観察会
いよいよ観察会開始です。観察の注意点を教えてもらい、採集スタートです。子どもも大人もみんな熱中しています。
採集や観察を通して、いかに自分が日常生活の中で見過ごしているものが多いのかに気がつきます。
田んぼに生きる生物や植物の繋がり
季節の中にも多種多様な生命の営みがあることを体験をとおして学ぶことができました。
他者と交流することで多様な生き方や考え方に触れ、自然の中で活動することで、自分も生き物の一つであることを体感できる機会が住田にあることに感激しました。これからの連携活動の中で、子どもたちの内的成長をともに支えていただけることを心強く感じた一日でした。
【余談】
観察終了後、使った機材の片付けを皆さんで行いました。トレーやバケツ/虫かごなど、使ったものはみんなで片付けます。
ふと、
スタッフの方から「このバケツあっちで洗ってきていただけますか?」とお願いされた筆者・・・「あっち」と言われた先に「水道の蛇口」を探しました。でも「あっち」には蛇口は見当たらない。
「あっち」にあったのは、沢から引いた澄んだ水が勢いよく流れる小川(用水路)「洗う」=「水道」と連想した自分にふと気づき、少し怖くなりました。
便利な世の中でたくさん見失ったり、忘れていることがあることに気づけた「源流」での一日に感謝です。